第三話 このまま ≪Short story≫
このまま
あの日あなたに偶然出会って
気が付いたら隣にいて
だけど
私が必要なときあなたはいつもいなくて
あなたが必要なとき私はいつもいて
エレベーターでエスカレーターで後ろから腕を回してくれるあなたに
いつもドキドキしてた
大好きな気持ちが毎日毎日重なって大きくなるばかりで…
幸せな時間がいとおしくて
あなたとの距離ができて仕事の帰り道
電車に乗る前に
必ず携帯をチェックしてあなたからの連絡がないのをわざわざ確認するの
わかってるのに自然に涙が溢れてきてあなたの胸で泣けたらどんなに楽だろう
……何度も思う
もうそれが叶わないとわかっていても
抱きしめられてる瞬間がこのままずっとずっと続けばいい
どれだけ願ってたと思う?
永遠なんていらない
このまま
このまま
もう少しだけ
抱きしめてほしい
私の願いはそれだけだったのに